7月7日投開票の七夕東京都知事選と9都議補欠選挙は衝撃的な結果をもたらした。取り分け,都知事選において断トツの約291万8000票を獲得し3選を果たした小池百合子知事(71)に続く約165万8000票を獲得した石丸伸二前広島県安芸高田市長(41)が次点となったことは驚きだった。選挙戦終盤の2~3日頃に2位予想の蓮舫前参院議員(56)と3位の石丸が入れ替わる可能性を指摘する声もあったが,石丸が蓮舫の約128万3000票を大きく上回ったことは9月後半に控える自民党総裁選に与える影響は計り知れない。
まさに「石丸ショック」であった。都知事選終盤に実施された最新のNHK世論調査(5~7日)で既に蓮舫惨敗の兆しが覗えた。同調査の内閣支持率,自民及び立憲民主両党支持率を検証する。内閣支持率:前回比4P増の25%,政党支持率::自民=2.9P増の28.4%,立民=4.3P減の5.2%である。内閣,自民支持率は共に微増だが,立民は5P近く下落している。石丸が得た165万票は衆院比例東京ブロックで5議席を覗える得票数である。加えて,自民党が都議補選(全9選挙区)で立候補した8選挙区で2勝6敗の大敗だったことも無視できない。岸田官邸や自民党執行部にとって深刻なのは,都民有権者には無名に等しい石丸陣営が告示(6月20日)後にSNS(交流サイト)を駆使して無党派層にアピールするだけではなく,ユーチューブやX(旧ツイッター)で街頭演説などの動画を配信し,支持・支援者ら陣営以外のアカウントが広く拡散したことだ。即ち,若年層が積極的に拡散させて無党派層の支持拡大を招いたのだ。
▶︎自民党総裁選は,投票権を持つ衆参院議員票371票と党員・党友票371票を合わせた742票で争われる。投票で有効投票の過半数を得れば総裁に選ばれる。どの候補も過半数に達しない場合は上位2人による決選投票になる。決選投票は,国会議員1人1票の371票と各都道府県連に1票ずつ割り振られた47票の合わせた418票で争われる。では,この総裁選にもSNSフル稼働の「石丸手法」は効力があるのか。党員・党友に殆ど知られていなかった候補(自民国会議員)であっても総裁選過程で行われる各種討論会やイベントを通じて“化ける”可能性がある。麻生派以外の5派閥も解散を決めた上に自民党シニオリティシステムもほぼ瓦解した。
従来の総裁選とは大きく異なった光景の下で実施される。そして2012年12月16日の総選挙で当選した衆院4回生以下は140人と全体の4割を占める。そしてその4割の過半が新しい「選挙の顔」を求めているとされる。自分たちの議員バッジを守ってくれる集票力のある新総裁(総理)のもとで次の衆院選を戦いたいというのである…(以下は本誌掲載)申込はこちら