9月12日告示・27日投開票の自民党総裁選は,どうやら知名度を高める狙いから最も早い8月19日に出馬表明した小林鷹之前経済安全保障相(衆院当選4回・49)と,抜群の知名度を誇り情勢を見極めた上で最も遅い30日に出馬会見を行う小泉進次郎元環境相(同5回・43)の一騎打ちになりそうだ――。
であれば喧伝されるように自民党は「世代交代」を果たした新総裁の下で「刷新感」を有権者に強くアピールできる。「新生自民党」が相成った,と。俄かに信じ難いが,先ず隗より始めよ,である。小林,小泉両陣営の検証から始めたい。注目したのは19日午後に衆院第1議員会館地下の大会議室で行われた小林会見に同席した国会議員24人(参院1人,衆院当選5回生1人を除く全員が4回生以下中堅・若手)である。新聞報道では名前以下その所属派閥・当選回数が記述されたのみだったが,本誌は各人の年齢,政治歴,学歴,元職,世襲など詳細をチェックした。▶︎
▶︎記者会見の司会をした武部新(4回・54・早稲田→シカゴ大院・旧興銀出身・武部勤元幹事長の長男),福田達夫(4回・57・慶應→ジョンズホプキンス大SAIS・三菱商事出身・福田康夫元首相の長男),大野敬太郎(4回・55・東工大院→カリフォルニア大フェロー・富士通出身・大野功統元防衛庁長官の長男),中曽根康隆(2回・42・慶應→コロンビア大院・JPモルガン出身・中曽根康弘元首相の孫),小森卓郎(1回・54・東京大→プリンストン大院・財務省出身),塩崎彰久(1回・47・東京大→スタンフォード大・NY州弁護士出身・塩崎恭久元官房長官の長男),鈴木英敬(1回・50・灘高校→東京大・経産省出身=元三重県知事),鬼木誠(4回・51・鹿児島ラサール高校→九州大・元福岡県議),務台俊介(4回・68・東京大・旧自治省出身),細田健一(4回・60・京都大→ハーバード大院・経産省出身)らだ。皆ピカピカのキャリアだ。取り分け,頭脳明晰で知られる武部,大野,鈴木の政策立案力,討論能力は霞が関官僚も高く評価する。
小林鷹之はそうした同世代に担がれた。自身も開成高校→東京大→ハーバード大ケネディ行政大学院修了の財務省出身。だが,エリート臭を感じさせない。自民党政務調査会において経済安全保障政策だけでなく,DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)政策に関わるPT(プロジェクトチーム)の中心を常に占める政策新人類である。甘利明前幹事長がその能力を開花させたとされる。昭和流の「磁力を感じる」「オーラがある」ではないが,誰もが「いい奴だ」と言う。それが今流なのだ…(以下は本誌掲載)申込はこちら