事実上の次期首相選出となる自民党総裁選(9月12日告示・27日投開票)が本格化した――。8月19日に出馬会見を行った小林鷹之前経済安保相(49・衆院当選4回)に次いで、5回目の挑戦となる石破茂元幹事長(67・12回)が出馬を表明した。
そして、2度目のチャレンジの河野太郎デジタル相(61・9回)、保守層期待の星の高市早苗経済安保相(63・9回)、秘めた野心を抱いてきた林芳正官房長官(63・衆院1回、参院5期)、知名度抜群の本命視される小泉進次郎元環境相(43・5回)が続く。その他、立候補に必要な推薦人(20人)確保に動く加藤勝信元官房長官(68・7回)、上川陽子外相(71・7回)、齋藤健経産相(65・5回)、野田聖子元総務相(63・10回)。真打ちは出馬表明のタイミングを計る茂木敏充幹事長(68・10回)である。トータル11人。この中で推薦人獲得が難しい野田氏。上川氏も自らが会長の「女性・平和・安全保障(WPS)議会人ネット」メンバーに働きかけるが難航中。永田町の政策通ピカ一の齋藤氏。
だが、旧石破派解消・離脱後、徒党を組まないことで知られる同氏に出馬を求める声が多いにしても、20人の推薦人を集めるのは容易ではない。となると、現状では8人が総裁選レースの出走馬となる。「政治とカネ」問題が端緒となり、低迷する内閣支持率と急落した自民党支持率の中で行われる今回の総裁選は過去に類例のないものである。▶︎
▶︎即ち同党は今、「刷新感」と「世代交代」が求められているのだ。この期待に応えなければ政権交代が現実味を帯びる。筆者は、最終的に小泉氏と小林氏の一騎打ち(K・K戦争)になると予測している。そこで重要なポイント2つを挙げる。第1は、小林氏出馬会見に同席した国会議員24人の検証。所属派閥の比較ではなく各人の「質」をチェックすべきだ。過半が海外留学を含め高学歴者であり、中央省庁・民間大手出身が多く、且つ政策に通じている。そうした4回生以下の若手に担がれている。
一方の小泉氏周辺を具に観察しても、同氏を支える議員の固有名詞が聞こえてこない。確かに政局強者の菅義偉前首相が後ろ盾となっている。しかし、共に闘う同僚議員が殆どいない。第2が齋藤氏の存在。実は両氏はこの半年間、頻繁に党改革を論議してきた関係にある。つまり齋藤氏が“選対本部長”で小泉陣営に参加する?果たして同氏1人だけで24人を相手に出来るだろうか。