9月27日の投開票に向け自民党総裁選のカウントダウンが始まった。12日の告示前は,小泉進次郎元環境相が1番人気の先行逃げ切り・シンジロー宜しく圧勝と見られていた。
ところが,ゲートが開いて程なくして脚いろが悪くなりアラアラ状態となって,決選投票に進める2位以内に残るのはほぼ絶望的となった。「選挙の顔」になり得ても「ネーションリーダー」には能力・経験不足という永田町・霞が関での「常識」が,公開討論,テレビ・インターネット討論をやるたびに地方の党員・党友にも知れ渡ることになったためである。代わって勢いを増しているのが高市早苗経済安全保障相だ。「刷新」新総裁がだめなら,プランBの「初の女性首相」という選択である。昨年から「総裁選を目指す」と地方講演や勉強会を重ね,その是非はともかく政策を入念に準備してきた人と,一夜漬けのにわか勉強でテストに臨む人との差が,これまでの選挙期間でジワジワと露呈してしまった感が強い。これを見事に証明したのが日本テレビ(NNN系列)独自の3回に及んだ党員・党友調査である。9候補のうち「誰を支持?」の質問に対し,9月5日公表:石破茂元幹事長28%,小泉18%,高市17%,13日公表:石破25%,高市22%,小泉19%,22日公表:石破31%,高市28%,小泉14%――と推移した。
さらに報道各社調査で,人手,カネ,手間をかけ,調査方法も開示している『読売新聞』調査(14~15日実施)を見る。同党員調査は全国都道府県で実施,投票権を持つ党員・党友と確認できた1500人から回答を得ている。投票先上位は石破26%,高市25%,小泉16%であった。小泉の失速要因は,早々にメッキがはがれたことだ。▶︎
▶︎そしてその時期は告示後,僅か2日目ごろだった。日テレ調査公表翌日=読売調査初日の14日午後,東京・内幸町の日本プレスセンターで候補者9人全員が参加した日本記者クラブ(JNPC)主催の自民党総裁選公開討論会が開かれた。討論会場に出向いて傍聴した本誌編集長が候補者間質疑と記者クラブ側代表質問を通じて仰天したのは,まさに小泉の回答である。候補者同士の質疑で名指し質問の集中砲火を浴びたのはもちろん小泉。上川陽子外相から「次(2025年6月)のカナダ(西部アルバータ州カナナスキス)でのG7サミットで何を伝えるか」と質問されたのに対し「カナダのトルドー首相は43歳で就任。43歳就任同士のトップが胸襟を開いて未来志向の外交を切り拓く」と“ポエムチック”な回答で応じた。政治にポエムは通用しないし,同い年なら外交は上手く運ぶのか。政治信条も外交理念も安保原則の片鱗も窺えない。
要は,答えになっていないし,国会論戦が思いやられると感じた人は多い。それだけではない。それは代表質問の最後っ屁だった。読売の橋本五郎特別編集委員が「できる限りの早期の解散」を主張している小泉に「せめて(解散前に)与野党の論戦があるべきではないか」と問うと,「判断材料がない,なんて(批判は)まったく当たらないた…(以下は本誌掲載)申込はこちら