第50回衆院選挙に続き、第47代米大統領選挙の結果に接して心底、痛感した。選挙予測は国を超えて難しいものであると――。
筆者は僅か1週間前の10月下旬、外務省幹部と昼食を共にした。話題はもちろん、「大接戦」とされた米大統領選の票読みである。勝者はドナルド・トランプ(前大統領)?それともカマラ・ハリス(副大統領)?を繰り返す筆者に嫌気を覚えたのか、「賭けサイト・カルシで身銭を切って張れと言われても断ります。それほど今選挙は大接戦です」と答えたのである。投票箱を開けてみてビックリのトランプ氏圧勝だった。「スイング・ステート」と呼ばれる激戦7州の中でAP通信がノースカロライナ州でのトランプ勝利を報じたのは日本時間6日13:18だった。最終集計結果が判明するのは2、3日後だと言われたペンシルベニア州もあっけなくトランプ勝利が確定した。4年前はトランプ大統領続投か否かでトランプNOだったのが、4年間バイデン大統領がやって改めてトランプ氏再登板にYESかNOかで、今度はYESだった――というのが今般の米大統領選であった。即ち、極論ではなくハリス氏は判定対象になっていなかったのだ。いずれにしても、我が石破茂首相は早速のトランプ次期大統領との会談を望んでいると言明した。具体的には今月の首相外遊日程に絡めたいというのである。相手様があのような傍若無人の権化みたいな方なので当方の都合で日程を確定することは不可能に近い。
それでも石破官邸・外務省連合軍は、11月15~16日に南米ペルーのリマで開かれるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議、18~19日にブラジルのリオデジャネイロで開催される主要20カ国・地域(G20)首脳会議出席後、帰国の途上にニューヨークに立ち寄って安倍晋三元首相と同じようにトランプタワー最上階の私邸で会談したい――この要望は在米日本大使館(山田重夫駐米大使)を始め非公式ルートを通じてトランプ側に伝わっているはずだ?! ▶︎
▶︎どういう意味か。トランプ氏周りの誰を介せば目標に刺さるのか、確たる情報はないのが現状だ。米側でも報道ベースでトランプ氏長男のドナルド・トランプ・“ドン”ジュニア(46歳)がキーマンとされるだけで核心情報ではない。安倍元首相時は、当時の佐々江賢一郎駐米大使がトランプ氏の長女イヴァンカ=ジャレッド・クシュナー夫妻とビジネス関係があった村瀬悟弁護士(NY州在住で安倍氏とは成蹊高校の同窓生)の協力のもとアポイントメントを得た。要は、4年前も現在もトラン
プ氏面談は至難の業なのだ。さて、その石破氏の先行き展望である。首班指名の特別国会(11月11~14日)、続く自然災害の対策と経済対策のための24年度巨大補正予算(13兆円?)成立のための臨時国会は召集日も期間もまるで決まっていない。与野党の国対委員長会談が立ちゆかないのだ。自民党の森山裕幹事長が国対委員長、衆議院運営委員長をも兼務しているに等しいため機能不全状態にある。党執行部立て直しを余儀なくされたことから、総選挙大敗の責任を取って辞任した小泉進次郎選対委員長の後任に木原誠二同代行が昇格した。木原氏の党4役入りで旧岸田派は石破政権中枢の林芳正官房長官、小野寺五典党政調会長、木原選対委員長の他に、松山政司参院幹事長、平井卓也広報本部長を加えると、官邸・党12重要職中5職を手に入れたことになる。因みに麻生派は麻生太郎党最高顧問、鈴木俊一総務会長、武見敬三参院議員会長の3ポストを占めている。
今、党内のごく一部で囁かれるようになった話題がある。それは先の総裁選で袂を分かったとされる麻生氏と岸田氏が来春以降夏までに歩み寄り、岸田氏再登板で合意を見るのではないかというのである。言わば「大宏池会」構想の再浮上でもある。これまた「トランプ・ショック」現象なのか。