当コラムで度々書いてきたことだが、トランプ米政権の裏面でとりわけ人事を巡り絶大な発言力を持っているのが、ドナルド・トランプ大統領(78)の長男、ドナルド・ドン・トランプJr(47)であると。首都ワシントンDCの政治サークルの中でトランプJrに関する話題は今2つある。その1つはこれまた話題沸騰の、“お騒がせ人物”2人の政府効率化省(DOGE)を率いる世界一の富豪イーロン・マスク氏(53)と、先のトランプ・ゼレンスキー会談に割って入り対立を煽った政権きっての超保守派J・D・バンス副大統領(40)との確執である。要するに、トランプJr争奪戦である。
もう一つの話題は、トランプJrのプライバシーに関わるものだ。父と同じペンシルベニア大学ウォートンスクールを卒業。現在、父が創業した不動産・リゾート開発会社トランプ・オーガニゼーションの上級副社長。因みに、第1次政権入りした長女イヴァンカ・娘婿ジャレッド・クシュナー夫妻は現在、同社プロジェクトとしてバルト3国のラトビアでサウジアラビアのムハンマド皇太子から巨額支援を受けて大規模リゾート開発に着手している(昨年、米紙ニューヨーク・タイムズがスッパ抜いた)。肝心なトランプJrは元モデルの妻ヴァネッサ・ヘイドンとの間に3男2女がいるが2018年に離婚、その直後から付き合い出したFOXニュース元キャスターのキンバリー・ギルフォイルと婚約するも、大統領選後の昨年12月に破局したという。度し難いのは、そのギルフォイル女史は現カリフォルニア州知事(民主党)のギャビン・ニューサム氏と01~06年まで結婚していたというのだ。何だ、この信じ難い男女関係は!1月のロサンゼルス郊外の山火事でトランプ大統領がニューサム州知事の対応を口汚く罵ったのを思い出す。
そして年初になってファッション誌「ELLE」が新しいガールフレンドのベティナ・アンダーソンさん(39)の存在を詳述した。それによると、フロリダ州パームビーチの大統領別邸「マーラ・ラゴ」近くに住む、これまたモデル出身であり、同地の「WASPエリート集団」(ホワイト、アングロサクソン、プロテスタントの略称。白人の米国人でキリスト教プロテスタント信者を意味する)に所属する。▶︎
▶︎1月20日の大統領就任式が米連邦議事堂で執り行われた後、DC中心部にある屋内競技場「キャピタル・ワン・アリーナ」で3つの大統領就任舞踏会が行われた。2番目の舞踏会は「リバティ・ボール」で催されたが、そこではトランプ大統領夫妻、バンス副大統領夫妻の他に長女イヴァンカ・クシュナー夫妻、次男エリック・トランプ夫妻(ララ夫人は共和党全国委員会共同代表)、そしてドナルド・ドン・トランプJrがベティナさんを伴い、ダンスに興じていた。
次は、同Jrに関する2つ目の話題である。筆者は、こちらのテーマである同氏のビジネス上の緊密な友人について強い関心を抱く。この情報はワシントンDCや韓国ソウルから筆者の元にもたらされた。 その人物の名前は、米国籍を持つ金範錫氏(米国名:Bom Kim・46歳)である。1978年ソウル生まれの同氏は8歳の時に現代グループに勤めていた父の転勤で米国に移住し、マサチューセッツ州の寄宿中・高校を経てハーバード大学を卒業(行政学士)。その後、同大学のビジネススクールに入学するも半年で中退してビジネスの世界へ。EC(電子商取引)企業としてクーパン(Coupang)を韓国に立ち上げたのは、世界のEC市場を支配するジェフ・ベゾフ氏率いるアマゾン・ドット・コムの投資対象外だったからだ。 間隙を突いた。そして大成功を収めた。2021年には米ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場し、大富豪となった。米クーパンのDC事務所にいて、21年8月から昨年11月まで政策・広報担当役員だったのが、実は米国家安全保障会議(NSC)ナンバー2のアレックス・ウォン大統領次席補佐官(国家安全保障担当)である。アレックス氏の執務室はホワイトハウス西棟1階であり、同氏が「トランプ外交・安保チーム」の主要メンバーであることが理解できよう。
そしてトランプJrは新しいガールフレンドを伴ってトランプJrはウォン氏、金氏ともども4月初旬に東京とソウルと訪れるというのだ。ベティナさんは「Japan Lover(日本大好き人間)」である。それが果たしてトランプ対応のツール(武器)となるのか、誰にも分からない。トランプ周りはご本人を筆頭に「Unpredictable(予測できない)」人ばかりだ。