共同通信の緊急世論調査（5月24～25日実施）の調査結果である――。内閣支持率は前回比4.3P増の31. 7 %、不支持率同2.5P減の52.6％。政党支持率を各党で比較すると次のようになる。自民党支持率：前回比3.4P増の28.4％、公明党：0.2P減の4.5％、立憲民主党：±0の12.1％、日本維新の会：1.6P増の6.5％、国民民主党：0.9P増の14.1％、れいわ新選組：1.8P減の4.7％。僅か1週間前の5月17～18日実施の前回調査と比べると、内閣支持率4.3P増 、自民党支持率3.4P増と共に上昇した。一にかかって「小泉（進次郎）効果」である。小泉農林水産相は23日の閣議後の記者会見で、政府備蓄米を巡り「5㎏あたり2000円台で店頭に並ぶような形で、随意契約で出していくことが基本方針だ」と述べた。合わせて、6月第1週目に店頭に並び始めるとの見通しも示した。共同通信の調査結果公表翌日には、年金改革関連法案を巡り、自民、公明、立憲民主の3党の実務者が協議して、厚生年金の積立金を活用した基礎年金（国民年金）の底上げ策を法案の付則に明記する修正案で合意した。
そして27日夕、石破茂首相（自民総裁）、斉藤鉄夫公明代表、野田佳彦立民代表が国会内で法案修正に関する合意書に署名した。今国会会期内の成立が確定した。石破氏は日頃から周辺に同い年の野田氏とは「保守の立場で共感することが結構多い」と語っていることからも、この修正合意で立民が通常国会会期末（6月20日）に内閣不信任決議案を衆院本会議に提出することはほぼなくなったと受け止めたようだ。
しかし立民内には、物価高対策として消費税減税（食品の消費税8％を時限的にゼロ）を参院選の公約にするべく動いた江田憲司元代表代行のように不信任案提出を強く主張する勢力が少なくない。
だが、消費税減税に関しては石破、野田両氏及び双方の右腕である森山裕自民幹事長と安住淳立民参院選総合選挙対策本部参与のラインでも採らないことで一致している。石破官邸と森山党執行部が現在、今なお沈静化しない物価高対策として密かに検討しているのは「一律5万円×2年間分＝10万円」の現金給付である。筆者は、同党幹部から直接この具体的数字「5×2＝10万」を聞いている。『週刊現代』（6月9日号）のインタビューで小泉氏も言及している「公金受取口座」の利用（既にマイナンバーに紐づいており6400万口座が開設）が効率良く実施できるとも聞いた。▶︎
▶︎これらに加えて日米関税交渉の「成果」が7月初めに浮上するというのである。石破氏の最側近、赤澤亮正経済財政・再生相は30日（米東部時間）、首都ワシントンのホワイトハス（WH。ペンシルベニア通り1600番地）の東隣にある財務省（同1500番地）でスコット・ベッセント財務長官と3回目の協議を行う。 1週間前の23日早朝（米東部時間22日夜）、市川恵一国家安全保障局次長兼内閣官房副長官補にアレックス・ウォン米大統領次席補佐官（国家安全保障担当）から緊急通報が入った。市川、ウォン両氏は数日前にWHで協議したばかりだった。そこへ「トランプ大統領が数時間のうちに（石破首相と）話したいと言っている」と連絡が入ったのだ。市川氏は直ちに岡野正敬国家安全保障局長に通報し、岡野氏が槌道明宏首相政務秘書官を通じて石破氏にその旨伝えた。それが同日午前11時からの日米首脳電話協議（45分間）となった。その内容は『朝日新聞』（27日付朝刊）に詳しい。
要するに国際協調派のベッセント氏主導で進む日米関税交渉は、日本側が求める自動車及び自動車部品への25％関税の撤廃は望むべくもないが、税率引き下げの余地が生まれつつあるのだ。6月15～17日にカナダ西部のカナナスキスで開かれる主要7カ国首脳会議（G7サミット）の合間に設営される石破・トランプ会談を枠組み合意の場にする。さらに「戦闘機一度見に来ないか」と誘われた石破氏は、同月末～7月初めのタイミングで訪米する腹積もりではないか。帰国直後の7月3日が参院選公示日である。トランプ1.0時の「安倍（晋三）・トランプ緊密関係」に及ばないまでも、トランプ2.0でトランプ氏との信頼関係を構築しつつあるので“不確実な日米関係”など懸念するに及ばないと国内外に言い募ることができるのだ。それが参院選での自民、公明合わせて過半数維持に繋がり、今夏以降の自らの続投を確実にできると思い巡らせているのだろう。しかし、多くの永田町ウォッチャーは楽観的に過ぎると見ていることをご存じないようだ。