石破茂政権の日米関税閣僚協議責任者である赤澤亮正経済再生相は7月22日午後5時過ぎ(米東部時間・日本時間23日午前6時過ぎ)から約70分間,米ホワイトハウス(WH)のオーバルオフィス(大統領執務室)でドナルド・トランプ大統領と会談した。4月に本格的な対米関税交渉が始まった。最初の訪米時の同16日,予定になかったトランプとの面会が叶って以来3カ月ぶりのWH訪問。日米関税閣僚協議8回目のため21日午後(現地時間),ワシントンDC入りした赤澤が同日夕に15回目の面談となるハワード・ラトニック商務長官のDCバークレー地区にある自宅に招かれて夕食を交えて最後の詰めに臨んだ。突破口に―赤澤氏,計15回19時間協議」は正しい。米側責任者のスコット・ベッセント財務長官ルートについては後述するが,赤澤がラトニックに刺さったのは相性がピッタリ合ったことが大きい。
と同時に「チーム赤澤」の経済産業省メンバーである卓越した交渉人で楽観論者の荒井勝喜通商政策局長と頭脳明晰で頑張り屋の藤井亮輔同局米州課長コンビが献身的に赤澤を支えた。ラトニックから翌22日にトランプとの面会が実現する可能性があると通告されて予行演習まで行っている。ラトニックは翌日夕の赤澤の面会前に,実はWHでトランプに対し,改めてこれまでの日本との関税協議の経過説明をしている。▶︎
▶︎日本経済新聞(24日付朝刊)の記事「商務長官ルート そのうえで合意に至れば米国は日本からの対米投資9分野で5000億㌦(約73兆円)の投資計画を提示されていると強調したという。この巨額ディールが米国にとっていかに「得」であるかをかみ砕いて説得したとされる。
一方,赤澤は同日午後3時20分から45分間,ベッセントとWHと指呼の距離にある米財務省で会談した。ここでも関税閣僚協議は基本合意の80%まで来ており合意は目の前にあり,残るは対米投資プランがいかに魅力的であるだけでなく実現性が高い根拠をトランプに示すことが肝要であると教示された。これを受けて赤澤は当地到着後に石破から連絡があり「関税より投資」との指示を受けたとして,ベッセントに対しトランプとの最終会談で言い値の4000億㌦を5000億㌦に上げる用意があると説明した。財源についてもチームメンバーの三村敦財務官を始め財務省がまとめた所管の国際協力銀行(JBIC)や政府系ファンドの年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)資金の活用策などを大統領に直接申し上げたいと強く求めたという。合意寸前の相互関税25%を15%に,そして日本側が全力を挙げる自動車関税の税率引き下げも全てはトランプ次第とベッセントに言われて会談は終了したというのだ…(以下は本誌掲載)申込はこちら