10月4日の自民党総裁選で勝利した高市早苗新総裁は同7日に役員人事を決定,新執行部を発足させた。
党5役は副総裁:麻生太郎党最高顧問(麻生派・衆院当選15回=85歳),幹事長:鈴木俊一総務会長(麻生派・衆院11回=72歳),総務会長:有村治子元女性活躍相(麻生派・参院当選5回=55歳),政調会長:小林鷹之元経済安全保障相(旧二階派・衆院5回=50歳),選対委員長:古屋圭司元国家公安委員長(無派閥高市系・衆院12回=72歳)。5人中3人が唯一残った派閥・麻生派である。世上で「麻生高市政権」と呼ばれる所以だ。党7役(副総裁を除く)で見ても,幹事長代行:萩生田光一元政調会長(旧安倍派・衆院7回=62歳),国対委員長:梶山弘志元経済産業相(無派閥茂木系・衆院9回=69歳),組織運動本部長:新藤義孝前経済再生相(旧茂木派・衆院9回=67歳)という陣容であり,麻生派と旧茂木派(系)が7人中各々2人ずつである。
要するに,麻生が茂木敏充元幹事長の助力を得て高市新総裁を誕生させたということだ。高市は4日午後の最初の総裁会見で「全世代総力結集でみんなで力を合わせて取り組む党にしたい」と言明したが,程遠い執行部人事となった。高市カラー皆無の中で「高市の精神安定剤」と言われる古屋はベテランの域に達するも適材適所とは真逆の選対委員長に据えられた。▶︎
▶︎この人事ひとつだけで早期の衆院解散・総選挙はあり得ないと断言する向きが少なくない。月並みの表現だが,殆どが「論功行賞」である。21日召集の臨時国会での首相指名選挙で首相選出されるが,現時点(9日)で高市官邸の仕切り役となる首相政務秘書官人事が難航するなど高市丸の船出は順風満帆に行きそうにない。「安倍3.0」を標榜するべくサプライズ人事のI氏起用に傾注しているとの指摘がある。そうだとしても,早くも短期政権説が流布され始めた。そこで戦後の関西出身の首相在任期間をチェックした。①幣原喜重郎(大阪府門真市出身)226日,②片山哲(和歌山県田辺市)292日,③芦田均(京都府福知山市)220日,④宇野宗佑(滋賀県守山市)69日。果たして5人目の高市(奈良県橿原市)は何日間,官邸の主を続けられるか。
次に,今総裁選の分岐点となった3日午後に麻生と茂木が衆院第1議員会館3階の麻生事務所で余人を交えず1時間半近く行った5候補の国会議員票と党員・党友票の最終票読みを起点に翌日午後1時からの国会議員投票までのタイムラインを検証する。麻生は同夜,麻生派幹部に対し翌日の総裁選が決選投票になったら1回目投票の党員・党友票で1位の候補に投票するよう派内周知を指示した。当日の4日午前11時45分過ぎ,ダメ押しで「(党員票トップになる)高市に投票するよう,改めて徹底しろ」と檄を飛ばしたという…(以下は本誌掲載)申込はこちら
