報道各社の直近の高市早苗内閣支持率は軒並み高い数字を維持している。①読売新聞・日本テレビ合同調査(12月19~21日実施):内閣支持率前回比1P増の73%,不支持率3P減の14%,②日本経済新聞・テレビ東京合同調査(同):支持率前回比±0の75%,不支持率±0の18%,③朝日新聞調査(20~21日):支持率前回比1P減の68%,不支持率2P増の19%,④共同通信調査(同):支持率前回比2.4P減の67.5%,不支持率3.9P増の20.4%。本誌はこれまで国民有権者支持・不支持の相場観は朝日新聞,共同通信,NHK3社の平均値から判断するとしてきた。然るに,NHK調査(12月5~7日実施)の内閣支持率前回比1.3P減の64.3%に共同67.5%,朝日68%を足して3社で割った平均値66.6%を国民の相場観とする。
厳密に言えば,他社調査を含めても内閣支持率はやや減少傾向にある。それでも政権発足初期に高水準を維持しているのは「高市内閣支持7割『小泉・安倍』と似る―長期政権,発足初期に高水準」(日経新聞23日付朝刊の見出し)と言えなくはない。問題は,来る2026年の先行き見通しである。日本銀行(植田和男総裁)が19日の政策決定会合で政策金利を0.75%に引き上げることを決めた。30年ぶりの高さだ。▶︎
▶︎植田は記者会見で利上げ路線の継続を言明したが,今後の利上げペースなどの具体的な手がかりを示さなかった上に1日の名古屋講演で示唆していた「中立金利」(金融水準の物差し)のレンジにも踏み込まなかった。よって22日の国内債券市場で国債が売られ,長期金利が上昇した。
一方,外国為替市場では円安・ドル高水準が顕著となり157円台で推移した。債券市場の一部に円安によるインフレ圧力を抑えるため,利上げペースを速めるとの観測がある。しかし首相周りに集うリフレ派は日銀が永遠に緩和的な金融環境を維持できるとの宗教的信念を抱いており,それは叶わない。さらに26日の閣議で過去最高規模の26年度当初予算案122兆円超を決定する。国債増発による予算膨張はインフレを加速させる負のスパイラルだ。市場関係者の間では,高市自身のブレーンであり安倍政権時のリフレ派リーダーだった本田悦朗TMI総合法律事務所顧問が内閣官房参与として再登板するとの見方が広がる。
仮に事実だとしても,高市は賢くてリアリストである。ケーキを食べ続けてダイエットはできないことを承知しているはず。第220回通常国会(1月23日召集・6月21日会期末)中盤の3月末頃の26年度予算成立前には官邸内の金融政策を巡る正統派とリフレ派との闘いに決着を付けるのではないか…(以下は本誌掲載)申込はこちら
