第51回衆院選は自民党の歴史的圧勝で終わった。自由民主党結党による55年体制発足以来最多だった1986年の中曽根康弘政権下の304議席(追加公認含む)を上回る316議席に達した。単独で3分の2を獲得したのも戦後初めてのことだ。
8日夜,NHKを始め民放各社の選挙特番が報じる選挙結果を観ていて,自民単独で過半数(233)→安定多数(243)→絶対安定多数(261)と獲得議席が徐々に増えて,終には3分の2(310)超えと局アナが上ずった声で断じた際に仰け反った。多くの読者もこれほどの「自民大勝」を予想していなかったのではないか。
ただ小誌編集長は選挙戦最終日,ただならぬ事が起こりつつあるのではないかとの印象を抱く出来事に遭遇したのだ。自民党衆院選PT団体・企業班作成の事務連絡に「2月7日(土)・東京都―高市早苗総裁遊説のご案内 【東京10区】15:30開会 礫川公園(文京区)」と記述されていた。自宅の近くでもあり「高市ブーム」の熱量確認のため出向いた。驚愕仰天であった。同公園とは指呼の距離の東京ドームで先週にレディ・ガガ,その前にはKポップのスパースター,Black Pinkのコンサートが催された時も地下鉄丸ノ内線後楽園駅一帯は大騒ぎであった。だが,高市首相の街頭演説に集まった有権者(?)は,老若男女どころかベビーカーの赤ちゃん連れの若いカップルから女子高校生たちが駅ビルに隣接する中規模公園を埋め尽くしている。▶︎
▶︎さらに立錐の余地なし状態のなか殆どの人が爪先立ちでスマホを掲げ街宣車に向けて高市を写すべく奮闘している。演説に耳を傾けるでもない。拍手するでもない。アンチ勢力が罵声を浴びせるわけでもない。テレビで投開票を観ていると直ぐにこの光景が頭を過り,得心するのだ。今回総選挙は「高市推し活選挙」であると。
本誌は,各メディアが軒並み「自民圧勝」と報じる要因について選挙期間中ずっと考えてきた。今衆院選は,自民党「風頼み」,中道改革連合(中道)「組織頼み」の構図である。自民は「我が党候補に投票して」よりも「引き続き高市首相を選んで」を前面に出した。党の公約を脇に置き,高市個人の人気をテコにした。「高市印」で最初から最後まで「推し活」。衆院解散直前の1月16日の立憲民主,公明両との合流による中道誕生後の与野党の政策論争は,対立軸のない曖昧模糊としたものになった。高市自身と自民が採った「争点潰し」戦術はまんまとはまる。高市が愛用するボールペン,バッグ,サンダルの売り上げが急増するご時世である。政治の枠組を超えた人気に支えられており,歴代首相では小泉純一郎元首相と似る。言い方を変えるならば,投票行動を「風」に乗ってスイングする無党派層を掌中に収めてしまった…(以下は本誌掲載)申込はこちら
