高市早苗首相は6月4日午前の衆院予算委員会で,自民党の石橋林太郎議員の質問「食料品の消費税ゼロ実現に向けた決意をお聞きしたい」を受け,こう答弁した。「衆院選の政権公約でも実現に向けた検討を加速すると記載しました。公約は是非とも実現したい」――。
2月総選挙の自民党公約に2026年度内の食料品消費税減税を掲げたこともあり,高市の「税率ゼロ」への拘泥は半端ないものがある。それでも首相は「消費税1%」に包囲されつつあった。この「減税ドラマ」は新聞主導で進んだ。先陣を切った日本経済新聞(3日付朝刊)が1面トップで「消費税『来春1%』調整―食料品,首相が月内判断―レジ改修,最長6カ月」を打ち上げれば,読売新聞(4日付朝刊)1面トップ記事は「消費税1%『準備に半年』―政府,食品対象―国民会議に見解『実質0%』へ還元案も」と差し返した。「日経」,「読売」は共に満を持して報じたのではなく,我慢し切れず突っ走ったというのが真相である。出稿は両紙共に政治部。高市が未だ決めかねていることが分かるのは,「読売」報道の3面スキャナー欄見出し「食品消費税,レジ改修来年4月までに可能―『1%』案迅速性重視―首相,公約との整合性腐心」にある。
そう,公約との整合性を測りかねているのだ。店のレジ改修に必要な期間は1%の場合で最大6カ月,一方の0%の場合で最速10カ月。法案準備は税制大綱方式で秋の臨時国会に提出する。換言すると,消費税減税実現は,「時期の約束」と「税率の約束」のいずれを選択するのかということだ。▶︎
▶︎即ち,税率1%で27年4月から実施するのか,それとも公約した税率ゼロを採り最速で同年10月実施にするのかという選択である。報道各社の世論調査でも有権者の支持は「公約のゼロより早い1%がいい」で概ね一致する。それでも首相周りは高市が「消費税1%」に傾きつつあるがコンセンサスにはなっていない。高市という政治家の物差しは一にかかって「どちらが得か損か」である。
もちろん,自分の政権運営のため,そして長期政権実現のためにどちらが「得か損か」をギリギリまで考えるというのだ(詳細はP.2の別稿を参照)。では,高市が敬して止まない故・安倍晋三元首相が,仮にこの「0%か1%か」の選択を問われたらどのような思考回路を経て結論に至るのかを想像してみる。安倍であれば先ずは信を置く側近―例えば当時の今井尚哉首相政務秘書官兼補佐官―に相談したはずだ。しかし,安倍路線継承者を自任する高市は,実は密かに「安倍超え」も視野に入れている。朝日新聞(8日付朝刊)1面トップ記事から引用すると,高市はこう語っている。「日本の総合的な国力を徹底的に強くしていく」――。4月27日に行われた安全保障関連3文書改訂に向けた「総合的な国力から安全保障を考える有識者会議」(座長:佐々江賢一郎日本国際問題研究所理事長・元外務事務次官)の初会合での冒頭挨拶…(以下は本誌掲載)申込はこち
