3月1日付 『尖閣防衛』米国の本気度は未知数ー米報道官『日本の主権』も具体性欠く日米安保

コロナ禍の中、2月20日の土曜日。珍しく菅義偉首相は終日、東京・赤坂の衆院議員宿舎で過ごした。その日の未明午前0時50分に首相官邸から宿舎に戻ったばかりだった。 
 前日午後11時2分から開催された先進7カ国(G7)首脳テレビ会議に参加するためだった。首相就任後初のG7サミットということもあり、その週の16、18、19日に秋葉剛男外務事務次官と4回も会い、外交・安全保障主要案件のブリーフィングを受けている。 
 その他の詳細は次のようなものだ。16日午前:阿達雅志首相補佐官、北村滋国家安全保障局長、和泉洋人首相補佐官、外務省の秋葉次官、森健良、鈴木浩両外務審議官、その後再び秋葉次官。18日午後:北村安保局長、滝沢裕昭内閣情報官、外務省の山田重夫総合外交政策局長、防衛省の岡真臣防衛政策局長、山崎幸二統合幕僚長、そして秋葉次官。19日午前:北村安保局長、和泉首相補佐官、森、鈴木両外務審議官、そして秋葉次官――。 
 万全なブリーフィングを受けて臨んだG7サミットが終わって束の間の休息なのか、当日の首相公式日程は無かった。ところが、休みのはずだった土曜日の午前10時16分から22分にかけて中国海警局公船2隻が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海に相次いで侵入し、同日午後0時15分頃に領海を出るという事態が発生したのだ。▶︎ 

▶︎第11管区海上保安本部(那覇市)から国土交通省と外務省に通報があり、外務省の船越健裕アジア大洋州局長から同省出身の高羽陽首相秘書官を経て菅首相に第一報が入ったのは正午頃だったと聞いた。 なぜ、それを筆者は問題視するのか。 実は、菅氏が参加したG7サミットに続いて、19日午後4時(英ロンドン時間・日本時間20日午前0時)からオンライン形式でミュンヘン安全保障会議特別会合が開かれたのである。 そこでジョー・バイデン米大統領が演説、米国は北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対する攻撃には同条約第5条を適用する、即ち集団的自衛権を行使すると。 
 NATOに比して日米安保条約第5条は「日本の施政下にある領域」に対する攻撃に対処すると書かれているだけであり、抑止力が弱く、条文に具体性が欠ける。 こうした懸念がある中、米国防総省報道官は23日に尖閣諸島における「日本の主権を支持している」と言明した。日本向けリップサービスでしかないのだろうか。