4月12日付「日米は海底レアアースの開発を急げー対中抑止力の切り札F-35B製造に必須」

政府は、最新鋭ステルス戦闘機「F35B」(ロッキード・マーチン社製)の導入を決定した。 航空自衛隊新田原基地(宮崎県新富町)に配備し、令和6年の運用開始を目指す。 
 政府の中期防衛力整備計画(中期防)では、同5年度までに垂直着陸機F35Bを18機導入、最終的に42機態勢とする。 防衛省は中国に対する抑止力として、空母化が予定される海上自衛隊護衛艦「かが」との一体運用を検討している。 
 ここで注意を促したい記事がある。それは、昨年10月に中国メディア『新浪軍事』が「米国は軍事兵器の製造に必要なレアアースを中国からの輸入に依存しており、レアアースが米国に対する『切り札』となる」と報道したことである(中国情報サイト・サーチナ社10月8日付による引用報道)。 
 そして原文の『新浪軍事』には、何と次のような件があるのだ。 《最新鋭のステルス戦闘機であるF35を1機製造するのに400㎏以上のレアアースが必要であるほか、パトリオットミサイルには4㎏のネオジム磁石が必要》、《短期間のうちで米国が国内にレアアースサプライチェーンを作ることは極めて困難だ》。▶︎

▶︎わが国の「中期防」の目玉である最新鋭ステルス戦闘機の製造に必須なレアアース(=高性能モーター磁石用ネオジム)は中国に牛耳られている。 経済産業省作成資料『経済安全保障を巡る最新動向』(令和3年4月)によれば、中国のレアアース埋蔵量が世界の37%、生産量は63%であり、「レアアース大国」である。
 その中国は今年1月にレアアース管理条例を発動、戦略備蓄を理由に一定量のレアアースを国内に留保、実質的に輸出を規制する方針を打ち出した。 米国の生産量は中国に次ぐ12%であるが、消費する80%近くを中国に依存してきたのだ。
 では、打つべく手立てはないのか。朗報はある。同じ経産省資料にきちんと記述されている。指摘すべきは、日本の領海・排他的経済水域(EEZ)の広さは世界第6位を誇り、その海底には、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、マンガン団塊、レアアース泥等の海洋鉱物資源の存在が確認されていることだ。《南鳥島海域(EEZ)の5000m海底に重希土を含むレアアースが粘土状の堆積物として広く分布》しており、日米連携で1日も早い開発が望まれる。でなければ、F35B戦闘機配備は幻になりかねないのである。