10月4日、岸田文雄内閣がスタートした。「安麻岸田内閣」と名付ける。
ここではもう一度、「ボウヨミオー」後の最強馬を決めるG1自民党総裁杯(永田町競馬場・フルスペックの良馬場)のレース展開をお浚いする。単勝1番人気で気性の激しい「キミジカヘンジン」(牡)が1枠ゲートから勢いよく飛び出し、第3コーナーまで5馬身の差を付けて逃げた。追走したのは2枠「カイセイボンジン」(牡)と3枠「ウハウハホーク」(牝)。ゲートインが遅れた「マルボーフジン」(牝)はしんがりだった。4コーナーを回って直線に入るとキミジカヘンジンとカイセイボンジンの差はみるみる縮まり、ほぼ同体でゴールラインを通過した。写真判定に持ち込まれ、ハナ差でカイセイボンジンが差し切った。
だが総裁杯には独自ルールがある。5馬差以上のぶっちぎりで勝った馬は優勝だが、それ以下の差なら1着馬と2着馬による再レースとなる。 第2レースは、中央競馬会の構成員だけが馬券を購入できる仕組みとなる。血統・人気・脚質だけの勝負とはならない。3着ウハウハホークの厩舎からの応援もあり、決戦レースではカイセイボンジンが最終コーナーから馬なりで加速し、大差をつけて優勝した。▶︎
▶︎岸田体制の2本柱である内閣官房長官は松野博一元文部科学相(衆院当選7回・細田派)、そして自民党幹事長が甘利明・前税務調査会長(同12回)の陣立てである。首相のサポート役である官房長官を岸田派から起用しなかった。加えて自民党副総裁に麻生太郎前財務相、幹事長に総裁選で予想以上の国会議員票を獲得した功労者である甘利氏を起用した。最大派閥を率いる安倍晋三前首相と第2派閥領袖の麻生氏、甘利氏の「3A」が党の要路を占有する。野党や一部メディアは「安倍、麻生の傀儡政権」と声高に批判する。当を得た指摘である。
だが、いみじくも麻生氏が「(自民党総裁は首相になるので)これは権力闘争だ」と言い放ったように、カイセイボンジンが直線で差し切って勝利したのも騎手が懸命にムチ打ったからなのだ。要するに勝つためには何でもありということである。
キミジカヘンジンの厩舎ではボウヨミオーが嘶いたし、「ボケタフリキラー」は調教師を務めた。それでも勝敗は、馬主、騎手、調教師、そして出走する馬自身の総合力が決め手となるのだ。勝馬カイセイボンジンの騎手「3A」と、血統「開成高校」が効いたという事である。