沖縄県名護市長選(1月16日告示・23日投開票)が実施される。米普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設計画が発表されて以来7度目となる市長選だ。自民、公明党が推薦する現職の渡具知武豊氏(60)と、立憲民主、共産、社民党、れいわ新選組推薦の岸本洋平市議(49)の一騎打ちである。朝日新聞は同10日から3日連続「復帰50年/名護市長選を前に」と銘打って大々的に報じた。「22年選挙イヤー」の起点として名護市長選をプレイアップしたのだ。
4年前の2月4日に実施された市長選で渡具知氏は自民、公明両党と日本維新の会の推薦を受けて、14年選挙で移設反対派の「オール沖縄」が支援・当選した稲嶺進氏を3458票の差で破った。同年1月初頭、筆者は家族と正月休暇で沖縄を訪れたが、国頭郡の美ら海水族館から那覇市への帰途、無人の名護市役所玄関前に立ち、暫し来る市長選に想いを馳せたことを覚えている。名護市の人口は6万1693人。大東・大中・大西など名護地区2、宮里・為又の名護地区1、旧村の屋部、久志など屋部地区の3地区の人口は4万797人で全体の66%を占める。▶︎
▶︎自民党が昨年12月18~19日に実施した情勢調査によると、渡具知氏支持45.8%、岸本氏支持46.4%で拮抗している。渡具知市長は市議5期。岸本氏は4期目の市議で辺野古移設反対だが、2期8年市長を務めた父・建男氏は在任中の99年12月末に条件付きで辺野古移設容認を表明した。
では、19年参院選と21年衆院選で各党の名護市における獲得票数はどのぐらいだったのか。 先ず19年参院選は自民、公明両党で9383票の43.77%に対し、旧立民、社民、共産党など野党計7987票で37.26%である。次の21年総選挙は自公で1万3139票の48.24%に対し、新立民など野党計1万211票の37.49%だ。国政選挙では与野党が熾烈な票争いを続けてきたのだ。ここで注目すべきは、渡具知市長の辺野古移設への立ち位置である。
なぜならば、「市議時代は容認する立場だったが、選挙中だけでなくこの4年間、賛否を語らず『沈黙』を通し」(朝日記事)ているからだ。昨年11月27日に沖縄入りした自民党の茂木敏充幹事長は名護市の再開発予定地を視察し、渡具知市長から説明を受けた。茂木氏は5日の年頭会見で市長選の重要さに言及したことからも、辺野古移設について何らかの言質を得ているはずだ。