夏の参院選を控えて、野党第一党の立憲民主党(泉健太代表)の苦悩は深い。1月25日に開かれた常任幹事会について、産経新聞(26日付朝刊)は次のように報じた。《執行部が提示した先の衆院選の総括案の了承を見送った。共産党を含む野党連携の表現などをめぐり異論が相次いだ》。
要は、共産党(志位和夫委員長)との候補一本化は一定の成果はあった(小選挙区で9議席増)が、想定していた結果は伴わなかった(比例代表で23議席減)ということである。その総括案が容易にまとまらなかったのは、立憲・共産連携をめぐり党内が分裂しているからだ。同党の内情に詳しい知人の選挙アナリストに解説してもらった。昨年10月の衆院選小選挙区で勝利した立憲議員の得票数から共産比例票を差し引いても勝てる候補は30人程度という厳しい現実がある。
即ち、参院選の32の1人区では自・公の与党、他の野党、そして共産党候補が出馬しても勝ち上がる選挙をやらなければ展望がないということだ。旧民主党時代に政権の座から転落した2012年総選挙から10年。その間、旧民主党から自民党に鞍替えした松本剛明元外相(肩書は旧民主時代で以下同じ。衆院当選8回)、細野豪志元環境相(同)長島昭久元首相補佐官(7回)らの現状は別にして、自民党の双六システムを、立憲の中堅・若手が注目しているというのである。▶︎
▶︎自民党では当選3回で大臣政務官、4回で党政調会部会長、5回で委員会委員長や副大臣、そして大臣とキャリアパスが見える。言わば「正規雇用型の組織・政党」だ。
他方、旧民主や今の立憲では、次の雇用=次の選挙で当選するのか、ポストがどうなるのか分からない「非正規雇用型の組織・政党」というのである。従って、明日の雇用がままならないから常任幹事会を含む党内各機関のヒアリングで悪目立ちして売名行為に走りがちになると、件の知人は言う。もちろん、共産票の上乗せを期待する向きは少なくないが、依然として立憲・共産共闘の必要を強く唱える勢力がいるのは事実だ。「野党統一候補」信奉者と言っていい。
だが、「22年選挙イヤー」の先鋒となった沖縄県名護市長選で自・公が推薦した現職の渡具知武豊氏に挑んだ「オール沖縄」支援の岸本洋平氏が敗れたことは大きい。泉代表が心を砕いて総括案了承に動いているが、先行きに光明は見えてこない。