米国務省は12月16日、対中国政策を調整する「チャイナ・ハウス」を設置すると発表した。同省の各地域局に分散する中国専門家を一堂に集め、経済安全保障の専門家なども加えた部局横断的な70人規模の「プロ集団」である。
リック・ウォーターズ国務次官補代理(中国・台湾・モンゴル担当)兼中国調整官をヘッドとする新設組織は、アントニー・ブリンケン国務長官が5月26日にジョージ・ワシントン大学でバイデン政権の対中政策について行った演説の中で言及していた。2019年4月に同省東アジア・太平洋局中国・モンゴル部長に就任したウォーターズ氏は国務次官筆頭補佐官、国務次官補代理(中国・台湾担当)を経て現職。同省「チャナイ・ハンド」(中国専門家)のエースとして知られる。
一方、米議会下院でも対中政策に関する新たな動きがあった。11月8日の米中間選挙で下院多数派となった野党・共和党のトップ、ケビン・マッカーシー院内総務が19日に中国問題を集中的に扱う「中国特別委員会」の創設を発表した。同氏は1月21日に始まる新議会で下院議長に就任するという。▶︎
▶︎そして同委員長に就任するマイク・ギャラガー氏はかつて米海兵隊情報部に所属した折り紙付きの対中強硬派である。こうした米外交当局と米議会の対中強硬政策へのシフトに神経を尖らせているのが日米欧の半導体関連ビジネス業界だ。
そのトリガー(引き金)となったのは、米商務省産業安全保障局(BIS)が10月7日に発表した先端半導体技術の対中輸出に関する規制措置だった。この輸出管理強化策は半導体関連製品(物品・技術・ソフトウエア)を対象としている。規制品目リストに軍事転用リスクのあるデュアルユース品目が網羅された。それだけではない。米国外で生産された製品であっても、米国製の技術・ソフトウエアを用いている場合は米国輸出管理規則(EAR)の対象となる。
ところが世界最大の半導体製造装置メーカーASML(オランダ)はその露光装置の中核に米国製の技術・ソフトウエアを導入している。日本の半導体設備メーカーKOKUSAIELECTRICや東京エレクトロンはどう対処するのか。実は中国に半導体製造工場を持つ韓国のサムスン電子、SKハイニックスは適用除外である。なぜ、この「差」が生じたのか。理由は分からない。