永田町の自民党本部9階で防衛関係費の財源検討に関する特命委員会(委員長・萩生田光一政務調査会長)が開かれた。元経済安全保障相の小林鷹之事務局長が進行役を務めた。そして当該省庁から多くが出席した。財務省:井上貴博財務副大臣以下、寺岡光博主計局筆頭次長、一松旬主計局企画係主計官、河本光博主税局調査課長ら、内閣官房:室田幸靖国家安全保障局内閣審議官(外務省から出向)、防衛省:増田和夫防衛政策局長、川嶋貴樹整備計画局長、萬浪学防衛装備庁装備政策部長ら――。
この会合で、政府が今国会に提出する防衛力強化のための財源確保法案(仮称)の概要について議論が交わされた。焦点となるのは、防衛費増額のため税以外の財源捻出をどうするかだ。財務省が準備した資料には、①財投特会財融勘定から2千億円を一般会計に繰り入れる②外国為替資金特会から決算上の剰余金の繰入れに加えて約1兆2千億円を一般会計に繰り入れる③税外収入を基金化する「防衛力強化基金」を設置する―と記述されている。
ただ、この法案を巡る議論よりも防衛増税に異論を唱える安倍派の国会議員から税外の財源捻出を求める声が相次いだ。そして会合の最後に萩生田氏が「(税以外の)4分の3の財源を安定的に確保する知恵を党として出していこう」と締め括った(産経新聞25日付朝刊)。▶︎
▶︎この防衛増税は、岸田文雄首相が23日に衆参院本会議で行った施政方針演説で「将来世代に先送りすることなく、令和9年度に向けて、今を生きる我々が、将来世代への責任として対応してまいります」と語ったように、岸田官邸のコンセンサスである。そのスキームは、財務省の新川浩嗣主計局長、一松主計官主導で作成されたものであり、法人・所得・たばこ税の増税で充当するというものだ。
こうして当面の焦点は4月の統一地方選となった。政令指定都市(北海道の札幌市から九州の福岡市など)20の市議会選挙では支持基盤が脆弱な自民党の苦戦は必至だ。地方では増税を掲げた選挙は戦えないとの声が噴出している。想起すべきは故・安倍晋三元首相が国債発行による防衛費増額を主張していたことだ。そこに注目の日銀総裁・副総裁人事が加わる。安倍氏信奉者はリフレ派からの副総裁を求めているのだ。党内政局の様相を帯びる現在、岸田氏は「政策」と「人事」で悩ましい決断を迫られている。