本稿がアップされる翌日、4月23日(日)に第20回統一地方選後半戦の最大の焦点である衆参院5補欠選挙の結果が判明する――。 従って、執筆時点(21日)での情報収集・分析であるとお断りしておく。先ずは、選挙戦終盤に入ってからのメディア3社の世論調査―読売新聞(4月15~16日実施)、共同通信(14~15日)、NHK(16日の期日前投票の出口調査)―をお浚いしたい。
衆院千葉5区=読売新聞:英利アルフィヤ(自民公認+公明推薦)37%、矢崎堅太郎(立憲民主公認)27%、共同通信:英利22.4%、矢崎25.2%、NHK:英利36%、矢崎23%。 衆院和歌山1区=読売:門博文(自民+公)49%、林祐美(維新公認)40%、共同:門33.5%、林43.5%、NHK:門28%、林63%。 衆院山口2区=読売:岸信千世(自民+公)52%、平岡秀夫(無所属)47%、共同:岸39.8%、平岡41%、NHK:岸55%、平岡33%。 衆院山口4区=読売:吉田真次(自民+公)61%、有田芳生(立民)32%、NHK:吉田50%、有田20%。(注・共同は同区の調査を実施していない) 参院大分選挙区=読売:白坂亜紀(自民+公)50%、吉田忠智(立民+共産・社民支持)49%、共同:白坂36.6%、吉田40.9%、NHK:白坂46%、吉田49%。
この各社数字から以下のような指摘と、選挙予想ができるのではないか。①衆院和歌山1区でのNHK調査が維新の会・林祐美候補63%に対し自民党・門博文候補28%の大差は異常であり、同調査は果たして信頼できるのか②千葉5区では野党候補の乱立もあり、落下傘候補で知名度が低い自民・英利アルフィヤ女史が敵失で議席確保の確率が高い③山口2区の故・安倍晋三元首相の実弟の長男・岸信千世候補と同4区の安倍後継の吉田真次候補は共に選挙戦序盤で苦戦が伝えられたが、自民は何とか議席を死守できる見通し④参院大分選挙区はもともと旧社会党・旧民主党支持層が強く、今回も事実上の「オール野党」の支持を得ている吉田忠智候補が頭一つの差で逃げ切る可能性が高い――。▶︎
▶︎仮に自民党が「4勝1敗」の選挙結果を掌中に収めることになると、岸田文雄首相(党総裁)の求心力は飛躍的に高まり、今後の政権運営と6月21日会期末の今通常国会運営に強い自信をもって臨むことができる。その間の5月19日に開幕する主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)議長を務める。 年初には低迷に喘いだ内閣支持率も直近の世論調査では軒並み上昇基調にある。テレビ朝日「報道ステーション」調査(15~16日)では何と支持率が前回比10.2P増の45.3%、不支持率も同4.4P減の34.6%となった。読売新聞・日本テレビ合同調査(14~16日)は支持前回比5P増の47%、不支持同6P減の37%で、両社共に支持が不支持を再逆転した。低い数値が出る傾向にある毎日新聞調査(15~16日)でも支持前回比3P増の36%、不支持同3P減の56%だった。
要は、支持率上昇トレンドに揺るぎはないということだ。忘れてはならないのは、15日に和歌山市の雑賀崎漁港で発生した岸田首相を標的とする襲撃事件がひとつ間違えば大惨事となっていたことだ。現行犯逮捕された木村隆二容疑者手製のパイプ爆弾はかなり殺傷力があるもので、爆発のタイミングと爆弾の落下地点によっては首相殺傷もあり得た危機一髪のテロ事件であった。いずれにしても岸田氏は強運の持ち主である。次なる関心事は、岸田氏がいつ衆院解散・総選挙に踏み切るのかである。先述した「統一地方選自民勝利」という結果になると、途端に勢いに乗る党内から解散風が吹き始めるのは間違いない。岸田政権は6月中旬までに「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2023」を発表する。
それまでに首相施政方針演説で謳った子供・子育て政策の強化に向けた具体策を準備する必要がある。それが適えば最速で第50回衆院選6月27日公示・7月9日投開票の可能性が高くなった。これまで永田町では9月の自民党役員人事・内閣改造後の秋の臨時国会召集冒頭解散との見方が有力視されてきたが、最近の岸田氏に取り分け際立つ「決断力」からすると、早期の衆院解散・総選挙あり得るべしである。