岸田文雄首相は3月5日夕、自民党本部で自らが本部長を務める政治刷新本部の小倉将信事務局長、鈴木馨祐、松本洋平、牧島かれん各作業部会座長と会談した。自民党派閥による一連の政治資金疑惑を受けて抜本的な政治改革のため1月11日に新設したのが政治刷新本部だ。 本部長・岸田総裁、本部長代行・茂木敏充幹事長、最高顧問・麻生太郎副総裁、菅義偉前首相の両氏。
そして小倉事務局長(前少子化担当相・衆院当選4回=無派閥)の下に、作業部会(ワーキンググループ)として①政治資金に関する法整備②党機能・ガバナンス強化③党則等の見直し――の三つが設置された。 陣立ては①座長:鈴木元外務副大臣(5回・麻生派)、②座長:松本元経済産業副大臣(5回・無派閥)、③座長:牧島前デジタル担当相(4回・麻生派)である。3月17日に都内のホテルで開催される第91回自民党大会を控えた5日の「令和6年党運動方針案」発表、続く7日の刷新本部会合で同方針案の了承に漕ぎ着けた小倉氏らに慰労の言葉をかけたのである。▶︎
▶︎岸田氏は同作業部会発足直後の2月8日、党本部で鈴木、松本、牧島の各部会座長の他、主要メンバーである大野敬太郎(元内閣府副大臣=4回・無派閥)、小林史明(元デジタル副大臣=4回・無派閥)、藤井比早之(元デジタル副大臣=4回・無派閥)各衆院議員とも昼食を共にしている。今、永田町では岸田氏が今月末の令和6年度予算成立後から4月初めにかけて内閣改造・党役員人事を断行するという噂が流布されている。この場合の焦点は、茂木敏充幹事長の処遇である。唐突の「派閥解消」を表明した岸田氏との関係は修復不能とされる。首相を見限った茂木氏はたとえ財務相転出を打診されても断るとの見方が支配的だ。
そこで注目を集めるのは後任幹事長である。名前が挙がっているのが、野田聖子元総務相(10回・無派閥)と小渕優子選対委員長(8回・無派閥)の2人だ。野田氏は裏金疑惑発覚直後に「派閥解消は当然だ」と言い切り、小渕氏はいち早く茂木派を退会している。 両氏が、3月14日の政治刷新本部会合で「『派閥』の存続及び新たな設立の禁止を規定した」岸田氏主導のガバナンスコードの一部改訂(要綱)に相応しいと見なしているというのだ。さらに小倉、鈴木氏ら中堅の「改革派」を執行部のコアに据えるという。見果てぬ夢ならぬ、永田町の噂話に終わるのだろうか。