大型連休(GW)最終日の5月6日午後2時50分,政府専用機で羽田空港に降り立った岸田文雄首相はその足で首相公邸に直行した。
そして召集した自民党政治刷新本部(本部長・岸田首相)の「政治資金に関する法整備検討ワーキンググループ(WG)」座長の鈴木馨祐政務調査会副会長(衆院当選5回・麻生派),事務局長の大野敬太郎総務会副会長(同4回・無派閥)と協議したのである。フランス,南米ブラジル・パラグアイ歴訪(5月1~6日)は3泊6日の超強行日程だった。先の国賓待遇による4月訪米(8~14日)の帰国日の14日もほぼ同じで午後2時半に羽田空港到着後直ちに官邸に向かった。イランのイスラエル攻撃について林芳正,村井英樹ら正副官房長官を始め,秋葉剛男国家安全保障局長,岡野正敬外務事務次官,船越健裕外務審議官,安藤俊英中東アフリカ局長などと対応策を協議。
その後,報道各社のインタビューを経て同日夜11時過ぎから主要7カ国(G7)首脳テレビ会議に出席。公邸に戻ったのは15日未明0時過ぎ。岸田が米南部ノースカロライナ州ローリー・ダーラム空港を発ったのは同日午前0時(米東部時間13日午前11時)であり,これまた過酷な日程であった。▶︎
▶︎このように相次ぐ訪米,フランス・南米歴訪はたとえ「大好きな外交」とはいえ,体力に自信が無ければこなせない。実際,待てば海路の日和よりあり,ではないがJNN(TBS系)の固定電話と携帯電話両方をかけて行うRDD方式世論調査(5月4~5日実施)で内閣支持率前月比7.0ポイント増の29.8%,不支持率7.1P減の67.9%だった。訪米直後の朝日新聞調査内閣支持率4P増の26%,毎日調査5P増の22%,読売調査±0の25%,産経・FNN調査3.7P増の26.9%をそれぞれ上回ったのだ。従来は「外交は票にならない(=支持率上昇に結び付かない)」が定説であった。
だが,岸田登場で国民の目線は少々変わった。そうだとしても自民党不信が解消したわけではない。政党支持率では,自民党支持が前回比1.6P下落し23.4%に対し,立憲民主党は4.1P上昇し10.2%。そして,「自公政権の継続」は34%,「立民などによる政権交代」が48%となった。こうしたことからも現下の岸田の最優先課題は,今通常国会後半最大の焦点である政治資金規正法改正を巡り,使途公開の義務がない政策活動費(政活費)について公開の是非など改正法与党案で公明党との調整・合意に漕ぎ着けることである。それ故に帰国していの一番に鈴木,大野から規正法改正に向けた与党案取りまとめの進捗状況を聞き取る必要があった。しかし,岸田の期待に十分応えるものではなく,改めて公明党が求めるレベルまで進めるよう指示した…(以下は本誌掲載)申込はこちら