9月12日告示・27日投開票の自民党総裁選は,国会議員票367票と地方票47票の計414票を巡って決選投票で石破茂元幹事長(67歳・衆院当選12回)と小泉進次郎元環境相(43歳・同5回)が争うことになりそうだ。総裁選出馬に必要な国会議員20人の推薦人獲得の争奪戦は熾烈を極めるものがあり,従来の権力闘争とは同一視出来ないにしても厳しい抗争となった。岸田文雄首相(党総裁)が年初1月19日午前の記者会見で岸田派(宏池会)解散を言明以降,自民党派閥は麻生派(志公会)を除く全派閥が相次いで解散を決定,現時点で正式手続きを終えた2派(岸田派と森山派)以外はその途上にある。
こうした中で実施される今回の総裁選は,派閥の論理や領袖の意思と関係なく多くの出馬が実現したし,基本的には誰が誰を支持するのかもこれまでの派閥の論理と結束では説明できない未体験ゾーンに突入したと言っていい。
それでも人間社会どこであれ3人集まれば派閥が出来ると言われるように,これからも派閥「的」なものが新たに出来ないわけでもないし,これまでの人間関係を無に帰すわけでもない。 ▶︎
▶︎そこで本誌が注目するのが,尹錫悦大統領との日韓首脳会談のため6日午後にソウル入りした岸田首相を追いかけるかのように同日夕に首相宿泊のロッテホテルにチェックインした武田良太元総務相である。『日経新聞』(8日付朝刊)のみがベタ記事で岸田・武田会談が行われたと報じた。2人は同夜,首相到着前日に同ホテルVIP専用階に設置された「首相勉強会室」で会談した。武田の訪問は事前に首相事務秘書官にも伝えられておらず首相夫妻が滞在する部屋があるフロアに予告無しで現れた武田を現認したSP(首相警護官)が腰を抜かすほど仰天したという。では,武田には岸田と緊急協議するどんな理由があったのか。6日は小泉が立候補を正式に表明したその日である。
確かに,出馬会見は演壇上に草稿と想定問答集を置いていたにせよ,自信に満ちた表情,力強い口調で言い切る進次郎節は国民に受けた。事実,翌7日午後に東京・銀座で行った街頭演説に約5000人が集まり,同氏の集客力が余人を寄せ付けない断トツであることを改めて自民党衆院当選4回以下の中堅・若手に印象付けた。
だが,その一方で小泉の十八番である「改革3大メニュー」の説明が一本調子である上に,従前から不安視される主要政策への理解不足が12日の告示後の各種討論会で茂木敏充幹事長や林芳正官房長官など政策通との質疑応答でボロが出るのは必定との指摘が少なくない。そうした中で日テレ(NNN系列)の党員・党友電話調査(3~4日実施)の「誰を支持しますか?」の回答で石破28%,小泉18%,高市早苗(経済安全保障相)17%といった結果も無視出来なくなった…(以下は本誌掲載)申込はこちら