11月11日午後の第215回特別国会衆院本会議で石破茂首相は第103代首相に指名される。第2次石破内閣が同日夜,発足する。10月27日投開票の第50回総選挙で落選した2人に代わって入閣したのは鈴木馨祐法相(衆院当選6回・自民党麻生派),江藤拓農水相(8回・無派閥)と,公明党の石井啓一代表落選によって斉藤鉄夫国土交通相(11回)の同党代表選出で中野洋昌国交相(5回)である。自民党執行部人事も行われた。総選挙大敗の責任を取って辞任した小泉進次郎選対委員長(6回・無派閥)の後任に木原誠二同委員長代行(6回・旧岸田派)が昇格,関口昌一参院議員会長(5期・旧茂木派)が体調不良で辞任した尾辻秀久参院議長の後任議長,後任参院議員会長に武見敬三前厚生労働相(5期・麻生派)が就いた。
因って石破政権下の同党執行部は旧岸田派が小野寺五典政調会長(衆院9回),木原選対委員長,平井卓也広報本部長(9回),松山政司参院幹事長(4期)の4人,麻生派が麻生太郎最高顧問(衆院15回),鈴木俊一総務会長(11回),武見参院議員会長の3人が占める。その他,菅義偉副総裁(衆院10回・菅グループ),小渕優子組織運動本部長(9回・無派閥),そして旧森山派の森山裕幹事長(衆院8回・参院1期)と坂本哲志国対委員長(衆院8回)らが控える。▶︎
▶︎こうして見てみると容易に分かように,石破を党側で支えるのは旧岸田派,麻生派,旧森山派である。石破直系(旧石破派)は閣内の首相最側近・赤澤亮正経済再生相(衆院7回)と平将明デジタル相(7回)の2人のみ。官邸には先の総裁選で石破推薦員20人に名前を連ねた橘慶一郎(6回・無派閥)と青木一彦(参院3期・旧茂木派)の両官房副長官(政務)がいるが,縦横十文字の何処から見ても石破の足元が脆弱であることは自明だ。
さらに加えて,自公合わせて衆院過半数割れの厳しい現実はこれまでの自民,立憲民主両党の国対委員長会談で合意した衆院の17常任・8特別委員長と3審査会長が議席数に応じて「ドント式」で配分された。何と首相出席の政府予算案を審議する他,国政の幅広いテーマを論議する場でもある衆院予算員会で絶大な権限を持つ委員長に立民の安住淳前国対委員長が就く。自民は2択で野党による内閣不信任決議案提出など本会議の議事を担う議院運営委員長を採った。来年1月召集の第217回通常国会における2025年度政府予算案成立の過程で内閣不信任決議案採決に追い込まれることを極めて危惧しているのだ。早くも腰が引けていると言っていい。
さらに衆院憲法審査会長も野党に譲り,これまた何と論客の枝野幸男元立民代表が就任する。永田町雀は自民が憲法改正論議を諦めたと断じる…(以下は本誌掲載)申込はこちら