第2次トランプ政権の全容が見えてきた。明らかになったホワイトハウス幹部と主要閣僚名を列挙する(注・★印は保守強硬派、☆印は女性)。ホワイトハウス=大統領首席補佐官:スージー・ワイルズ(☆選挙コンサルタント・67歳)、大統領次席補佐官:スティーブン・ミラー(★元スピーチライター・39)、大統領補佐官(国家安全保障担当):マイケル・ウォルツ(★下院議員・元米陸軍特殊部隊員・50)、大統領報道官:キャロライン・レビット(☆元報道官補・27)。閣僚=国務長官:マルコ・ルビオ(★上院議員・53)、国防長官:ピート・ヘグセス(★FOXニュース司会者・44)、司法長官:マット・ゲーツ(★下院議員・42)、内務長官兼国家エネルギー委員長:ダグ・バーガム(★ノースダコタ州知事・68)、商務長官:ハワード・ラトニック(★投資銀行キャンター・フィッツジェラルドCEO・63)、保健福祉長官:ロバート・ケネディ・ジュニア(R・ケネディ元司法長官の次男・70)、教育長官:リンダ・マクマホン(★☆米国第一政策研究所理事長・元プロレス団体CEO・76)、国土安全保障長官:クリスティ・ノーム(★☆サウスダコタ州知事・元下院議員・52)。
このラインナップを具にチェックすると平常心を保てなくなりそうだ。国防長官が女性への性的暴行の疑い、司法長官は未成年女性買春・薬物常用疑惑で捜査対象となっていたことが判明した。長官任命には上院の承認が必要だ。トランプ氏側は否決を織り込み済みであり、この2人の指名は超保守派の“ガス抜き”との解説もある。▶︎
▶︎と書いてきたら、ゲーツ氏の指名辞退と後任にボンディ元フロリダ州司法長官を指名との速報があった。司法省への「報復」を公言してきたトランプが、さすがにやり過ぎを自覚したのだろうか。
波乱要因はまだある。イーロン・マスク氏の存在だ。電気自動車(EV)大手テスラ、宇宙企業スペースXなど経営する同氏は「政府効率化省」トップに任命された。人事にも口出しする同氏を「まるで大統領かのように振る舞っている」との批判もある。早くもワイルズ女史など側近との軋轢説が浮上した。安心材料が無くはない。
先週、来日したジョンズ・ホプキンス大学SAIS(高等国際関係大学院)のケント・カルダ―教授から聞いた話だ。米共和党のポリシーメーカーでは際立つ存在のエルブリッジ・コルビー元国防次官補代理(戦略・戦力担当)が新政権の政策決定要路に就くという。正直、肩の力が抜けた気がするが、錯覚か。