最新のNHK世論調査(6月6~8日実施)の結果が永田町の景色変貌の理由を如実に物語っている。石破茂内閣の支持率が前回比6P増の39%,不支持率6P減の42%,一方自民党の支持率は5P 増の31%だった。中でも関心が集まっていた不支持率の減少度が予想を遥かに上回ったことが大きい。ほぼ1週間前に実施した民放TBSをキー局とするJNN世論調査(5月31日~6月1日)では内閣支持率が前回比1.3P増の34.6%に対し,不支持率は0.1P減の62.0%と殆ど減少率ゼロだった。
即ち,6月になり小泉進次郎農林水産相主導の随意契約で売り渡した政府備蓄米の販売が広がりスーパーやドンキの店頭に並び,と同時に事実上の減反に当たるコメ生産調整の見直しにまで踏み込んだのだ。5日には自民党農林族からの強い反発に抗して農政改革に向けて議論(米価高騰の原因・対応の検証を含む)を進めるため石破首相を議長とする関係閣僚会議を発足させた。
一義的にはこうしたビジュアルな「進次郎効果」が内閣不支持率減少と自民党支持率上昇にそれなりに影響を与えたのは疑いの余地がない。別稿で国民民主党の退潮トレンドに言及しているが,JNN調査では野党第1党・立憲民主党は前回比2.6P 上昇の8.2%であり,3.4P下落した国民を昨年11月以来7カ月ぶりに逆転した。▶︎
▶︎この結果が判明した時期の5月30日午後,衆院本会議で自民,公明,立民3党の賛成多数で年金改革関連法案(基礎年金=国民年金の底上げ策を法案附則に明記する修正案と共に)が可決され,参院に送付された。22日の今国会会期末までに成立する。この与党・自公と野党・立民の組み合わせが,実は今後の連立政権の組み替え構想にも果たして影響するのか。石破は立民の野田佳彦代表と誼を通じている。それ故なのか野田は,15~17日にカナダ西部のカナナスキスで開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせてドナルド・トランプ米大統領とのトップ会談で自動車・部品25%課税の税率引き下げ実現に向けて対米関税交渉に傾注する石破を慮って会期末の内閣不信任決議案提出に躊躇している。「この国難と言える時期に(衆院解散・総選挙による)政治空白を作るべきではない」とまで言うのだ。19~20日に天皇の広島訪問がある。22日が日曜日なので20日が事実上の会期末となる。となると不信任案提出は18日だが,石破がG7サミットから帰国の途上にある。当初,首相と天皇不在の18日に果たして提出可能なのかとの指摘があった。
しかし,林芳正官房長官は6日の記者会見で「天皇の地方行幸の際に衆院解散をした先例はある」と述べた。1952年8月と60年10月の2回。要は首相の解散判断は制約されないと公言することで,解散・総選挙→衆参ダブルのフリーハンドを掌中に収めようとしたのだ…(以下は本誌掲載)申込はこちら