参院選(7月3日公示・20日投開票)を占う「先行指標」と言われる東京都議選(定数127)が6月22日,投開票された。案の定と言うべきか,想定以上の自民党大敗に終わった。翌日の新聞各紙(朝刊)の見出しも,『読売新聞』は1面左肩に「自民大敗 都ファ第1党―都議選,立民,国民伸長」,『朝日新聞』も1面左肩に「自民大敗 最低議席―都議選,公明も苦戦,都民ファ第1党」で一致した。小池百合子都知事が特別顧問の地域政党「都民ファーストの会」は前回比5増の31議席を獲得して都議会第1党に返り咲いた。
翻って第1党だった自民は過去最低の21議席に沈んだ。公明も前回比4減の19議席で9回連続の全員当選の目標は叶わなかった。自民党執行部(森山裕幹事長)は東京都連(会長・井上信治元万博相)を含め,この間の「令和のコメ騒動」の中で5月中旬以降の予想以上の「進次郎効果」に加えて選挙1週間前に行った独自の情勢調査(14~15日実施)結果がそれほど悪くなかった(現有30議席が3減の27議席)ことで気の緩みがあったことは否めない。[定数1]7選挙区が1勝6敗,[定数2]15選挙区は6勝9敗が象徴的である。[定数2]の自民敗北9選挙区は荒川区,小平市,日野市などトップ当選の都民ファ新人に自民現職・新人が敗れた。
一方,[定数1]の自民敗北6選挙区のうち中央区は都民ファ新人に自民現職が敗れている。このような厳しい現実を突き付けられた自民は1カ月後に迫った参院選への不安が募るばかりだ。それにしても,である。木原誠二自民選対委員長は遡る11日頃,都議選の見通しを聞かれて「自民派閥に続いて都議会自民会派による政治資金パーティー収入の不記載問題発覚が効いている。かなりしんどい。行っても20そこらだ」と語っていたという。
だとすると,党4役である木原が抱いた危機感は執行部・都連で共有できていなかったのかという疑問が生じる。自民内に公明党と支持母体の創価学会票が都民ファに流れたと見る向きが少なくない。それにしても党内で「石破降ろし」は起きそうにない。石破茂首相(党総裁)は,参院選の目標を自公で非改選と合わせ過半数獲得に置く。露払いの都議選がギリギリ踏みとどまった負け方だったことで,多少の不安を抱えながらもこの目標に邁進することになる。引き続き政権維持の意思は世上の理解より遥かに強い。終盤国会では石破政権に対する国民の風向きが肌で感じるほど変化した。国民が苦闘する物価高の象徴とも言えるコメ価格の引き下げを巡り,小泉農林水産相が“獅子奮迅”の演技で「小泉劇場」の視聴率を稼ぎ,低迷が続いていた内閣支持率が上昇トレンドに転じている。
では,通常国会会期末の与野党攻防で野党第1党・立憲民主党の野田佳彦代表が最大の焦点だった内閣不信任決議案提出を見送ったが,その真意は何だったのか。あらかじめ用意されていたシナリオ通りにコトが運んだ感じが強いとの見方をする向きが政官界の要路に少なくない…(以下は本誌掲載)申込はこちら