ドナルド・トランプ米大統領ファミリーに関するゴシップ記事は、米メディアの中でもエンターテイメント業界誌の『バラエティ(Variety)』や娯楽情報誌の『ピープル(People)』の両週刊誌、女性ファッション誌の『エル(ELLE)』(英語版は月刊誌。本家の仏語版は週刊誌)など全世界ネットワーク雑誌でよく散見する。それでも年初1月20日の大統領就任式以降、トランプ氏の長女イバンカ(43歳)さんと娘婿ジャレッド・クシュナー氏(44歳)夫妻がこの種の媒体に取り上げられることは殆どなくなった。
ところが、最近になってクシュナー夫妻の一挙手一投足を米CNNなどテレビやネットメディアが大々的に報じた。アマゾン(Amazon)創業者で億万長者のジェフ・ベゾス氏(61歳)と元ニュースキャスターのローレン・サンチェスさん(55歳)の「世紀の結婚式」に招待されたのだ。イタリアの水の都ベネチアで6月26~28日の3日間にわたって行われた。5つ星ホテルの「アマン・ヴェニス」を全フロア借り切り、パジャマ&仮面舞踏会のレセプション、ベゾス氏所有の超豪華ヨット船上のフォーム(泡)パーティーなど盛大なイベントにセレブ約200人が参集した。中でもお騒がせセレブで有名なキム・カーダシアンさんを筆頭に、ハリウッドスターのレオナルド・ディカプリオからヨルダンのラーニア王妃ら各国の王族、さらにマイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏までの社交界セレブが「パパラッチ全員集合」現象を招いた。なお、ロイター通信は結婚式費用推定67~80億円と伝えている。
今春ごろからトランプ氏に対し最も影響力があるのは、実は長男のジョン・トランプJr氏(47歳)であると報じられることが多くなった。トランプ氏に次ぐ権力者とされるJ.D.バンス副大統領が実現したのはトランプJr氏の強い推しによる。すなわち、「トランプ人事」にも影響力を持つ。そのトランプJr氏こそが、第2次トランプ政権発足に当たってトランプ1.0時の大統領補佐官イバンカさんと大統領上級顧問クシュナー氏をインナー・サークルから排斥した張本人というのだ。長男Jr氏と長女イバンカさん、そして次男エリック氏(41歳)はトランプ氏の最初の妻イバナ夫人(故人)との間の子どもである。▶︎
▶︎首都ワシントンDCのホワイトハウス近くのロナルドレーガン記念ビルにあるウイルソン・センター。ウッドロウ・ウイルソン第28代大統領を記念して建てられた施設の一つであり、由緒あるシンクタンクである。しかし同センターは4月7日、一部のプログラムを除き活動を停止すると発表した。トランプ氏が3月に政府組織削減策の一環として同センターへの資金支援停止の大統領令に署名したため、運営が立ちゆかなくなったのである。 ウイルソン・センターはワシントンに数多あるシンクタンクの中でも、民主党系とされるブルッキングス研究所や米国進歩センター(CAP)、共和党系のハドソン研究所やヘリテージ財団と違い、共和、民主党いずれにも偏らない中道派とみられていた。
ところが、イバンカ・ジャレッド夫妻が同センターに肩入れしているだけでなく、今や民主党系の本性が露わになったシンクタンクであると、Jr氏が父親に告げ口したのだ。それだけではない。Jr氏はクシュナー家の曽祖父母がホロコーストからの生還者で米国へ移民してきたユダヤ人であり、父母も生来のリベラル派であると強い嫌悪感を抱いているとされる。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルなどの報道によると、最近のイバンカ・ジャレッド夫妻はアドリア海に面したアルバニアと内陸部セルビアでリゾート開発に傾注しているという。クシュナー氏率いるプライベートエクイティ(PE)・ファンド「アフィニティ・パートナーズ」がサウジアラビアの最高実力者ムハマンド皇太子からの出資を含め10億㌦(約1500億円)をかけて、アルバニアではアドリア海の浜辺に5つ星級のホテル、セルビアでは首都ベオグラードの旧都心に超豪華リゾート建設する。セルビア・プロジェクトではトランプ1.0時の駐独大使のリチャード・グレネル氏がひと肌脱いだと、米紙NYTが指摘している。
一方、英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版。6月27日付)は次男のエリック・トランプ氏インタビュー「Eric Trump opens door to political dynasty」を掲載している。政界入りへの意欲を隠さないエリック氏だが、記事を読む限り、彼がいったい何を目指しているのかよく判らない。ここ数年のトランプ氏は身長201㎝のハンサムな、メラニア現夫人との息子バロン(19歳。名門ニューヨーク市立大学スターン・スクール・オブ・ビジネス在籍)を溺愛しているという。トランプ一族も決して一枚岩ではないようだ。