米保守系紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が1月8~13日までの6日間、全米の登録有権者1500人を対象に米調査会社インパクト・リサーチとナショナル・リサーチの2社に委託して世論調査を行った(注:675人は電話による調査/825人がTTW=スマホやPCのWeb画面で回答する方式)。A4版21頁に網羅された調査結果をチェックする(質問と回答は48項目に及ぶ前例が殆どない大規模な調査)。冒頭の「米国は『良い方向』に向かっているのか、それとも『悪い方向』に向かっているのか」との質問事項では「良い方向」との回答が39%に対し、「悪い方向」という回答は57%に達した。米国民は第2次トランプ政権発足後2カ月余の昨年4月に比べて、米国の先行きに悲観的な見方をしていることが分かる。ドナルド・トランプ大統領の経済運営についての質問では、「支持」が44%に対し「不支持」は54%になり、「不支持」が「支持」を10㌽上回った。「昨年の今頃と比較した場合、現在の米国経済をどう評価するか」との質問には「良くなった」との回答が35%、「悪くなった」は49%、「同じまま」が15%だった。米有権者は政権発足から1年が経つ中で米国経済の改善を実感できていないことを示す。調査結果から窺える核心的な重要ポイントは、トランプ大統領が何よりも内政を重視するよう米有権者が望んでいることである。トランプ氏は経済問題(インフレ・物価高)ではなく、不必要な外交問題に関与することを選んでいるとの回答者が53%にも達しているのだ。1月3日のベネズエラ軍事急襲後、米政治サイトのリアル・クリア・ポリティクス(15日付)では、トランプ支持率42.4%に対し、不支持率55.2%となり、支持率の急落が際立った。支持率から不支持率を引いたネット支持率はマイナス12.8㌽と昨年11月21日のマイナス13.1%に迫るものとなった。同軍事作戦で米軍が秘密兵器「ディスコムボビュレーター(Discombobulator)」を使用したと、トランプ氏は米タブロイド新聞ニューヨーク・ポスト(24日付)とのインタビューで明かした。我が国メディアは「混乱装置」と訳して報じているが、実はそんな生易しい兵器ではない。NYポストは軍事作戦で拘束されたニコラス・マドゥロ大統領の警護部隊の証言「突然、全てのレーダーシステムが停止した」、「頭が内側から爆発するような感覚に襲われた」、「全員が鼻から血を流し、血を吐く者もいた」などを紹介している。▶︎
▶︎明らかにこの秘密兵器は、電磁パルス(EMP)を発生させて軍事基地内の広範囲に敷設される電子機器を一瞬で麻痺・破壊させる「パルス兵器(Pulse weapons)」である。電力、通信、交通といった社会インフラの壊滅的な機能停止を引き起こすだけでなく、人体への直接的な即時影響も懸念される「非人道兵器」とされる。一時期、北朝鮮が対米殲滅兵器として開発していたことは記憶に新しい。このように目的完遂のためには手段を選ばないトランプ流の高圧外交に、終に米国民からも厳しい批判の声が上がり始めたことを先のWSJ世論調査は示唆している。しかしトランプ氏は、自分に盾突く者(組織・国家)を許さない。事実、トランプ政権は先のリアル・クリア・ポリティクス社世論調査を「フェイク(虚偽の)ニュース」と罵って圧力をかけている。
だが、WSJは保守系有力紙である。専制化著しいトランプ氏であってもWSJを正面切って攻撃(口撃)することはほぼ無い。まさにこれこそが同氏の真骨頂と言っていい。究極のリアリストなのだ。11月の米中間選挙を前にトランプ政権内で今、緩やかなパワーシフトが進行中である。J・D・バンス副大統領とスティーブン・ミラー大統領次席補佐官(政策担当)が主導してきた帝国主義的路線からマルコ・ルビオ国務長官(兼国家安全保障担当大統領補佐官代行)とスコット・ベッセント財務長官がタッグを組んで推進する同盟関係活用・強化路線へ軌道修正が行われつつある。後者の最終標的は、紛ごうことなき「中国」である。すなわち、トランプ氏は4月の中国国賓訪問を当面の自らのゴールと想定している。昨年来のウクライナ→ガザ→イラン→ベネズエラ→グリーンランドなど諸難題に積極的にコミットし、自身のイニシアティブを通じた「解決」を見せることで、習近平国家主席とのトップ会談に向けた交渉力のレベルアップに傾注しているのだ。
そして、高市早苗首相(党総裁)が第51回衆院選で2月8日の投開票日に「自民党単独過半数233議席」、さらには「同単独安定多数243議席」まで制する勝利を掌中に収めることが叶った場合、3月上旬に予定される首相訪米は主要国の耳目を集める高市・トランプ会談となる。なぜか。国民に信認された日本のネーションリーダー高市首相に対して、その強硬な対中姿勢を改めるよう強く言いくるめたとして、習国家主席との会談冒頭で披瀝する腹積もりのようだ。ドナルド・トランプを、舐めたらアカン!
