高市早苗首相は7月7日夕方,日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)と会談し,昨年10月の政権発足に当たって維新と交わした連立政権合意書に明記された衆院議員定数削減法案と副首都機能整備推進法案のうち前者の第221回特別国会会期中の成立を断念し,秋の臨時国会に先送りすることを確認した。今月17日に会期末を迎えるが,これまでの国会空転によって皇室典範改正案や再審制度を見直す刑事訴訟法改正案といった閣法(内閣提出法案)など重要広範議法が未成立のまま17本残る事態となり,現時点で高市官邸は7月31日まで約2週間か,8月7日まで約3週間の会期延長を検討せざるを得なくなった。そもそも国会空転を招来したのは政府与党,即ち高市首相・鈴木俊一自民党幹事長ラインの驕りから来る対野党強気一辺倒の国会運営に起因する。2月衆院総選挙で予想外の大勝「自民党316議席」を獲得したことが根っ子にあるのは言うまでもない。
そもそも高市は「国対」という発想を持ち得ないだけでなく党総裁として国会対策(運営)担当者への配慮・気配りに欠ける。由って高市と自民党の梶山弘志国対委員長を直結するパイプがない,参院少数派にも拘わらず高市と参院自民党の石井準一幹事長の間にはコミュニケーションがない,先の衆院解散総選挙の事前の相談に与らなかった鈴木の高市不信は半端ない,など「ナイナイ尽くし」である。▶︎
与野党協議をみても,梶山の野党第1党・中道改革連合(中道)の重徳和彦国対委員長との国対レベル,麻生太郎副総裁の国民民主党の玉木雄一郎代表との個人レベルのチャンネルなどの例外はあるが,高市官邸と自民執行部に野党との間に太いパイプを持つ者はほぼ皆無だ。然るに高市は連立を組む維新との「合意」遵守,即ち議法(議員提出法案)の「衆院定数削減」と「副首都構想」に拘泥してきた。
だが,さすがに寝た(審議拒否)野党を起こす(審議再開)ためには“維新偏重”の軌道修正を余儀なくされた。その兆しはあった。衆参院予算委員会只中であり,且つ会期末まで1カ月を切った6月22日夕,官邸で与党党首会談が行われた(同席:自民・木原稔官房長官,維新・遠藤敬首相補佐官兼維新国対委員長)。政局絡みのこの種のトップ会談で所要時間30分は果たして長いのか,短いのか。そして同30日午後,官邸枢要ポスト首相補佐官でもある維新幹部の遠藤は高市に執務室に招かれた。面会時間は12分間だが,差しの対面会談だ。
さて,冒頭の高市・吉村与党党首会談には,自民側:鈴木幹事長,梶山国対委員長,萩生田光一幹事長代行,松山政司参院議員会長,石井参院幹事長,磯崎仁彦参院国対委員長,維新側:藤田文武共同代表,中司宏幹事長,遠藤国対委員長,浅田均参院会長,猪瀬直樹参院幹事長,柴田巧参院国対委員長に尾崎正直,佐藤啓両官房副長官が同席。両党のオールスターキャストとなったが,実態は僅か7分間の対外向けセレモニーである。「有言実行」を旨とする高市が今回,厳しい与野党攻防に抗して国会正常化できたのは一にかかって遠藤の存在が大きい…(以下は本誌掲載)申込はこち
