そもそもは,ほぼ2カ月前の6月30日に発表された「経済財政運営と改革の基本方2026(骨太の方針)」の原案にあった。2001年から明記されてきた「財政健全化」の文言が削除されたことが判明するや途端に円安・債券安(長期金利上昇)が進んだ。マーケットが財政規律の緩みに「警告」を発しているとの見方が,その直後から国内外で拡大し始めた。
前号で報じたように,7月21日に閣議決定した「骨太の方針2026」には次のように記述された。《…官民が連携して大規模かつ長期的な財政支出を伴う産業政策が大きな潮流となっている。これは,経済財政運営の在り方そのものに関するコペルニクス的転回であり,我が国においても,こうした時代の変化を踏まえた国家運営が求められている。高市内閣は,投資不足の流れを断ち切るとともに,世界的な産業政策の大競争時代に対応していくため,「責任ある積極財政」の考え方の下,政府が一歩前に出て,官民手を携え,戦略分野への投資を進める》。
だが,その後も止まるところ知らずの円安・債券安は7月下旬には1ドル=164円近くまで突き進んだ。そして同31日にはスコット・ベッセント米財務長官主導で日米協調の円買い為替介入が実施された。高市早苗首相は8月5日の臨時閣議で,食料品の消費税率を2年間限定で1%に引き下げることを決定した。▶︎
▶︎それまでは小渕優子元経済産業相のように消費税減税への批判をセーブしていた感があった自民党内財政規律派は堰を切って,財源を脇に置いて党公約を盾に強行した「高市減税」に批判の集中砲火を浴びせた。稲田朋美元防衛相,古川禎久元法相,森山裕前幹事長,石破茂前首相,河野太郎元外相らだ。お盆休み中の日本経済新聞(13日付朝刊)の見出しが「減税ポピュリズムに対抗軸―森山・河野氏ら首相の進め方問題視,来秋自民総裁選を意識」が,党内勢力の現状を鋭く活写した。
それにしても先述したこの「対抗軸」とされた勢力には外国機関投資家を含むマーケット関係者も加勢している。本誌に頻度高く届く事例は,先の言葉「コペルニクス的転回」の言い出しっぺである城内実経済財政相・日本成長戦略担当相についてのネガティブ評価である。経済財政諮問会議と日本成長戦略会議のリフレ派民間構成員4人を人選した城内批判だ。換言すると,次の内閣改造で閣外に出すべきだという。
さりとて首相指示の「予算編成の在り方の抜本見直しに向けた基本原則」を基軸に国内投資の徹底的なテコ入れを柱とする日本成長戦略策定の議論をリードした城内の更迭は高市政権の士気に関わる。
9月上中旬に行われる内閣改造が注目される所以である…(以下は本誌掲載)申込はこち