高市早苗首相の肝いりで政府・与党が掲げた「責任ある積極財政」の看板に偽りがあるとまで言わない。だがここに来て,当初からするとイメチェンを余儀なくされて看板の描き換えを行った感がある。そのことを示唆するのは,日本経済新聞の名物コラム「風見鶏」に掲載された,首相官邸キャップの秋山裕之記者の署名記事「首相『財務省嫌い』の虚実」(10月4日付朝刊)である。永田町界隈では「書いたらまずい話」の典型とされる類だ。同記事からその触りを引く。<……首相動静をみると,面会相手に「宇波(弘貴)主計局長」が登場するのは2月16日が最後だ。次官人事発令の8月7日まで半年近く空いた。高市政権発足から2月までの4カ月間は面会が14回あった。首相がめざす消費税減税で対立し,出入り禁止になったとの噂を生んだ。実際は違う。宇波氏は首相動静に出ない形で何度も裏口から官邸に入っていた。首相と自民党の小野寺五典税制調査会長らの面会にも同席していた>。弊誌でも書いたことがあるが,時の政権が明るみに出したくない人物との面会(=「首相動静」に非掲載)を官邸で行うには裏口を利用する。東京・永田町の首相官邸正面玄関を出入りする人物を,内閣記者会所属報道各社の若手記者が鵜の目鷹の目でチェックしている。
しかも正面玄関を入った右側エレベーターで5階から直行で降りて来ると,記者団から誰と面会したのかの質問攻めに遭う。同階に首相を始め正副官房長官執務室や其々の秘書官室があるからだ。▶︎
▶︎そうした日経記事にある「官邸の裏口」は,首相官邸と道路を隔てて向かいにある内閣府庁舎側のそれではなく,赤坂見附交差点から虎ノ門に向かう外堀通り沿い左手にある溜池側裏口をさす。内閣府側裏口には警護警官の厳しいチェックを受ける上に道路を行きかう車と通行人の目が多い。こうして内々に官邸に出入りする時は溜池側裏口が利用される。しかし,官邸内の政府高官などの執務室がある5階や大ホールがある2階などへの往来にエレベーターを乗り換える必要があり時間の余裕を持って訪れなければならない。
そう,何が言いたいのか。それほどまでして<何度も裏口から官邸に入った>宇波氏は,<「税収増などで10兆円の(食料品の消費税率を1%に引き下げる)財源はまかなえる」と(首相に)伝え,制度設計に深く関わった>と,財務省(当時の宇波主計局長)が消費税減税に深くコミットしたことを明らかにしているのだ(<>内は日経記事の引用)。
弊誌を含め多くのメディアは高市自身の「財務省嫌い」を疑う余地のない事実として,この間に物議を醸した高市政権の経済財政・金融政策を論じてきたきらいがあるのではないか。確かに,財務省(旧大蔵省)が好きではない。しかし現下の日本の最高権力者となった高市が「嫌い」だからといって同省の協力なくしては事が進まないのは百も承知だ…(以下は本誌掲載)申込はこち
